淡路島の老舗お香メーカー・薫寿堂と、気鋭の香りディレクター和泉侃氏が手がけるインセンスブランド「THE ROOT 595」が、香料史の源流を辿る新シリーズの第一作として、古代エジプトをテーマにした新作インセンス『2500 BC』を2025年12月に発売します。
フランキンセンス、ミルラ、そして古代エジプト特有の複合香「キフィ」を主成分とした本作は、紀元前2500年の香り文化を現代のお香として再解釈した意欲作です。
香りが祈りだった時代──古代エジプトの香料文化とは

古代エジプトにおいて、香りは単なる嗜好品ではありませんでした。
神々への祈り、治癒、そして眠りへの誘いとして、人々の営みと深く結びついていた存在です。
紀元前2500年という香料の歴史における最古の記録のひとつを起点に、『2500 BC』は当時の人々が香りに託していた感覚や役割に目を向けながら制作されました。
キフィ──古代エジプトが生んだ複合香の神秘
本作の核となる「キフィ(Kyphi)」は、単一の植物ではなく、樹脂、果実、香草、蜂蜜、ワインなど十数種以上の素材を用いた処方香です。
その調合は香りを調合するというよりも、医薬の処方に近い感覚で扱われていました。
代表的な処方には、ショウブ、シナモン、没薬、乳香、ジュニパー、アカシア、レーズン、蜂蜜、バラ、ワインなどが含まれ、夕刻に焚かれることで心身を鎮め、眠りへと導く香として重宝されていたと伝えられています。
フランキンセンスとミルラ──神聖な樹脂香料の役割
フランキンセンス(乳香)とミルラ(没薬)は、古代エジプトにおいて宗教儀礼や防腐、治療の場面で欠かせない樹脂香料でした。
フランキンセンスは空へと立ち上る澄んだ薫りによって神と人をつなぐ媒介とされ、ミルラはより地に近い領域で身体を守り、鎮める香料として用いられてきました。
『2500 BC』で使用しているフランキンセンスおよびミルラは、アフリカ北東部に位置するソマリランド地域に自生する樹木から採取されたもの。
採取から精製までの工程において混ぜ物を行わず、産地と直接つながるルートで流通した純度の高い原料のみが選定されています。
130年の技術が支える、樹脂香料を主成分とした挑戦

製造を担う薫寿堂は、1893年(明治26年)に淡路島で創業した老舗香舗です。
『2500 BC』の製造において最大の難関となったのは、フランキンセンスやミルラといった樹脂原料を主成分とする練りの工程でした。
職人技が光る、樹脂香料の混練工程
樹脂は油分が多く、粘度や燃焼性が不安定になりやすいため、お香として成形・乾燥させるには高度な見極めが求められます。
薫寿堂では原料の配合比や練りの状態、温度・湿度といった環境条件まで細かく調整し、10種以上の試作を重ねて最終仕様へと辿り着きました。
その日の原料の状態を手の感覚で読み取り、最適な状態へと導いていく工程には、長年の経験に裏打ちされた職人の判断が自然なかたちで反映されています。
伝統と革新の融合──レイヤー構造という新たな試み
本作では、乾燥樹脂とオイル化された香料を同時に用いるレイヤー構造を採用しています。
粉体を主体とする従来のお香づくりにおいて精油を積極的に取り入れる手法は多くありませんが、香りの立ち上がりや奥行きをより豊かにするため、素材の状態を見極めながら工程を組み立ててきました。
火をつけると、フランキンセンス由来の澄んだ立ち上がりと、ミルラの深く落ち着いた余韻が交わり、樹脂香特有の重厚さの中に、すっと抜けるような印象が立ち上がります。
THE ROOT 595が目指す、香料史の源流を辿る旅

THE ROOT 595は、595年に淡路島へ沈香が漂着したという日本書紀の記述を起点に、日本の香文化と世界の香料史の源流を横断的に結び直すプロジェクトです。
焚く薫りという所作を軸に、香りの起源と現代の暮らしを再解釈し、横断的に編み直すことを目指しています。
ブランドリニューアルで拡張する視点
2025年11月のブランドリニューアルにより、THE ROOT 595(旧:√595)は「香料史の源流を辿る」という新たな視点を掲げました。
ディレクションを担う和泉侃氏(Olfactive Studio Ne)は、これまで取り組んできた日本の香文化の文脈に加え、香りが人の営みや祈り、治癒と深く結びついていた古代の文化へと射程を広げることで、本作の主題を定めました。
現代の感性で受け取る、古代の香り
『2500 BC』は、文献に残るキフィの処方を単純に再現するのではなく、当時の人々が香りに託していた感覚や役割に目を向けながら、現代のお香として成立するかたちを探った作品です。
原料の選定や調合は、樹脂や香草、スパイスといった素材の性質に一つひとつ立ち返りながら、薫寿堂の製造技術とのすり合わせを繰り返して進められました。
美しさや心地よさのみを基準とするのではなく、香りがもつ背景や意味も含めて検証することで、香りが祈りであり、薬であり、世界と関わるための手立てであった時代の感覚を、現代のお香へと昇華しています。
『2500 BC』が紡ぐ、ささやかな時間の層
『2500 BC』の香りは、どこか遠い時間の層に触れるような感覚と、素朴で芯のあるスパイシーさをあわせ持っています。
日常のリズムの中でふと立ち止まり、煙の向こう側にある時間や、自分の内側の感覚へと意識が向いていく、そんなささやかな時間が立ち上がります。
記憶の中にない、しかしどこか時代を超越した懐かしさを感じる、プリミティブで普遍的な香りです。
商品情報
- 商品名: 2500 BC / Stick
- 価格: 4,180円(税込)
- 原料: Kyphi, Myrrh, Frankincense
- 製造: 株式会社薫寿堂(兵庫県・淡路島)
- ディレクション: 和泉侃(Olfactive Studio Ne)
- 内容量: 40本
- 長さ: 13.5cm
- 燃焼時間: 約15分
THE ROOT 595について
- ブランド名: THE ROOT 595(旧:√595)
- プロダクション: 株式会社薫寿堂
- ディレクション・セントデザイン: 和泉侃 / Olfactive Studio Ne
- ブランディング・クリエイティブ: 早川和彦 / H inc.
- Instagram: @root.595
- 公式サイト: https://root595.com/
薫寿堂について
薫寿堂は淡路島で1893年(明治26年)に創業して以来、熟練の職人たちの手で高品質なお線香やお香を丁寧に製造してきました。
伝統的な「香」はもちろん、長年培った技術力を活かして、今の暮らしに馴染む新しい「香」のあり方を日々探求しています。
- 会社名: 株式会社薫寿堂
- 所在地: 兵庫県淡路市多賀1255-1
- 創業: 1893年(明治26年)
- 公式サイト: https://www.kunjudo.co.jp/
お問い合わせ
- 会社名: 株式会社薫寿堂
- 担当: 魚住桂子
- Mail: contact@root595.com